【非破壊スキャンとは?】大切な書籍を裁断せずスキャンする「非破壊スキャン」についてご紹介

“大切な書籍をこれ以上劣化させたくない”
“電子化した後も手元に原本は持っていたいし、できる限り傷つけたくない”

こう言ったお悩みを抱えるお客様におすすめなのが、「非破壊スキャン」です。

非破壊スキャンは、書籍などを傷つけずにスキャンする方法であり、主に図書館や出版社などで利用されています。
非破壊スキャンを行うためには、特殊なスキャナーと専門的な知識が必要です。

この記事では、大切な書籍を裁断せずスキャンする「非破壊スキャン」についてご紹介させていただきます。
ご検討の皆さまの参考になりましたら幸いです。

スキャンにおける「破壊」と「非破壊」の違い

まずは「破壊」と「非破壊」の違いを見ていきましょう。

破壊スキャン(裁断スキャン)の特徴

破壊スキャンとは、書籍を断裁してバラバラにした状態でスキャンする工程です。
この方法では、表紙や背表紙・糊付けされている部分を切り取り、一冊纏めて一気にスキャナーにかけるため、断裁さえ完了してしまえば後の作業はほぼ機械に任せられます。
断裁する際、カッターや裁断機を使用しますが、一般的には裁断機が最もポピュラーな方法でしょう。
裁断機には大きな刃が搭載されており、レバーを動かすだけで分厚い本でさえも簡単に断裁することができます。
この方法を用いることで、効率的に破壊スキャンを行うことができます。

非破壊スキャンの特徴

一方、非破壊スキャンとは、書籍を破壊せずにスキャンする工程を指し、書籍を傷めることなくスキャンできるため、原本を傷つけずにスキャンしたい方にとっては非常にメリットがある方法です。
一般的なスキャナーでは、1枚ずつページをめくって本を伏せて読み込む必要があり、かなりの工数がかかるイメージがありますよね。
また、背表紙近くの部分に影が残りやすく、辞書の様に分厚い本はスキャンに向かないという印象もあるでしょう。
しかし、非破壊専用のスキャナーを使用すると、本を伏せることなくスキャンすることが可能です。
1枚ずつページをめくる手間はかかりますが、影も写りにくいという利点があります。

「破壊」と「非破壊」の違いについて、ご理解いただけましたでしょうか。
それぞれに、メリット・デメリットがあるかと思いますが、スキャンの質もさることながら一番の違いは何と言ってもスキャンコストの違いです。
非破壊スキャンを行った場合、どうしても人の手による作業が増えるためスキャンコストは割増になります。
それぞれの違いを理解しつつ、自社に合った方法を選択していきましょう。

非破壊スキャンの方法とスキャナーの種類

非破壊スキャンを可能にするには、一般的に知られるスキャナー(複合機)では難しく、専門的な機器を使用します。
以下、一般的に使われるスキャナーと、非破壊スキャンを叶えるためのスキャナーの特徴をご紹介していきましょう。

フラッドヘッド型スキャナーの特徴

フラッドヘッド型スキャナー

フラッドヘッド型スキャナーは、書籍や文書などを閉じたままスキャンすることができるタイプのスキャナーです。
企業様やコンビニでも設置されており、一般的に最もポピュラーな機器でしょう。

本や雑誌・原稿などを固定し、光を完全に遮断することができるため、スキャンの精度が非常に高くなります。
色や細かなディテールを含む写真など再現性が高く、これらのスキャンに非常に適しており、光の影響を最小限に抑えることで、色再現や解像度が向上し、高品質なスキャン結果が得られます。そのため、出版社や写真スタジオなど、高品質なスキャンが求められる場面で広く利用されています。

しかし、一度に1枚ずつしか読み込むことができないため、多数の書籍や文書を短時間で処理する必要がある場合には、他のスキャナーを検討する方が適しているでしょう。

オーバーヘッド型スキャナーの特徴

オーバーヘッド型スキャナー

オーバーヘッド型スキャナー(ブックスキャナー)は、書籍や文書などを開かずにスキャンすることができるタイプのスキャナーで、非破壊スキャンを行う際には、こちらの機器が使用されます

書籍や文書を開かずにそのまま台に置いてスキャンすることができます。下記にフラッドヘッド型スキャナーとオーバーヘッド型スキャナーで書籍をスキャンする場合のフローの違いを比較してみましょう。

フラッドヘッド型スキャナーで書籍を印刷する場合の流れ

  1. ヘッド部分(複合機の蓋)を開く
  2. スキャンしたい部分をスキャナーに押し付ける
  3. ヘッド部分(複合機の蓋)を閉じて印刷する

この繰り返しですよね。

オーバーヘッド型スキャナーで書籍を印刷する場合の流れ

  1. スキャンしたい部分をスキャナーに押し付けて印刷する

このワンステップです。作業工程がとてもシンプルですし、一部のスキャナーには歪みや傾きを自動的に補正してくれる機能が備わっています書籍を裁断せず、損傷も最小限に抑えながらも簡単にスキャンしたい方にはとてもオススメの機器ですよ。

しかし、これだけの機能を備えたスキャナとなると機器の価格も高価なため、業務用としての需要が主となっており一般に目にする機会は殆ど無いでしょう。

非破壊スキャンを業者に依頼するメリットとデメリット

非破壊でスキャン代行業者に依頼するメリットとデメリットをそれぞれ解説します。
ぜひ御社の非破壊スキャンにお役立てください。

メリット

貴重な原本を裁断せず、そのまま残せる

書籍を裁断しないため、原型を留めた状態で保管が可能です。
絶版本やレア本など、再入手が困難な書籍のスキャンにも適しています。
非破壊スキャンする理由の一つは、万が一の破損・汚損・紛失に備えて原本を保護したいというニーズがあるからです。
非破壊スキャンであれば、原本の開き癖・折り癖が殆ど生じないため、書籍は状態を落とすことなくく返却されるでしょう。

電子化によって情報の携帯性が向上する

電子化することで、オフィスや研究室の外でも閲覧が可能になり、文章や図画の共有が簡単に行えます。

情報の検索性向上や2次活用が可能に

OCR処理を施したPDFファイルだと、文書内のテキストが検索可能となります。これにより、特定のキーワードやフレーズを含む文書を迅速に見つけることができます。
WordやExcelなどの文書処理ソフトウェアに貼り付けて編集したり、データベースに取り込んで分析することもお手のもの。
情報の有効活用がより一層進むでしょう。

デメリット

納期が遅い

非破壊スキャンと破壊スキャンを比較した場合、圧倒的に破壊スキャンの方が納期を早められます
破壊スキャンでは、最初に本の断裁を行うことで後続のスキャン工程が機械化され、作業効率が向上します。複数の書籍を纏めてスキャンすることも可能ですが、非破壊スキャンだとそうはいきません。
大量の書籍を短期間でスキャンしたい場合や急なデータ化のニーズがある場合には、破壊スキャンが適しているでしょう。

スキャンコストが高い

非破壊スキャンと比較した場合、破壊スキャンは機械化されたプロセスによって効率的に作業が進むため、一般的にコストが比較的安いです。特に大量の書籍をスキャンする場合は、その効果が顕著に現れるでしょう。
ただし、再製本を依頼する場合はコストがかかることがあります。再製本は断裁された本を元の形に戻す工程であり、完全に元通りにはなりませんが、本としての形態を成す程度には戻してくれます。
コスト面から考えた際は特に、何を優先したいのかを明確に業者に伝え、提案を受けることもお勧めですよ。

期待するスキャン結果を得られない可能性もある

データのクオリティも破壊スキャンの方が高い可能性が非常に多く、裁断する場合はページを1枚ずつバラして読み取るため、背表紙の影になる部分が殆どないのが魅力です。
非破壊専用スキャナーを使い熟練の社員によってスキャンするため、通常より圧倒的に影の写り込みは避けられますが、それでも裁断したスキャン結果に勝るデータ化は中々難しいでしょう。
どうしてもデータの質を重視したい場合は、書籍としての形を残すことを諦め、破壊スキャンにするのがよさそうです。

非破壊スキャンを成功させるポイント

専門業者にスキャンを依頼する際に、ぜひ念頭においていただきたい注意点やポイントをご紹介します。
期待する結果を得るためにも、ぜひ参考になさってください。

本当に非破壊スキャンで依頼すべきなのか

裁断せずにスキャンをする目的は何でしょうか?例えば、いつでもどこでも本の内容を閲覧できるようにしたいのであれば、本の形態にこだわる必要はありません。廃盤や歴史的価値が高い書籍の場合は必要かと思いますが、書籍の希少性が低い場合、電子書籍でもう1冊購入してデバイス上で閲覧する選択も可能です。
先述したように、非破壊スキャンには書籍を買う2~3倍のコストがかかることが想定されますので「本当にスキャンが必要なのか?」「非破壊スキャンでなくてはならないのか」を業者と相談しながら選定してみても良いかもしれません。

見積もりだけ送られ、詳しく説明してくれない

業者が見積もりを出す際、スキャンについてのヒアリングはありましたか?
殆ど話していない段階にもかかわらず、問い合わせフォームに記載した内容だけで見積もりが作成された場合「こんなはずではなかった」と思われた担当者様も多くいらっしゃることでしょう。
業者が見積もりを作成する際は、ある程度情報が必要であり、その情報をもとに可能な限り現実的な見積もりを作成してもらう必要があります。
以下に、最低限伝えるべき情報をご紹介します。

書類の種類と量

書籍・雑誌・文書・写真などの種類や、ページ数・ファイル数などを伝えます。

書類や書籍の状態

書類の状態によっては、スキャン前後に補修作業を行う必要があり、この作業は殆どが人の手によるものなので、スキャンにかかる時間や手間が異なります。
この情報を曖昧に伝えていることにより、コストが想定外にかかってしまうと言うのは、よく耳にします。

解像度とフォーマット

スキャンする解像度やフォーマット(PDF、JPEG、TIFFなど)を伝えましょう。
高解像度や特定のフォーマットを希望する場合は、追加料金が発生する場合があります。
また、高解像度になるとスキャンの精度は高まりますが、データも重くなってしまいます
何のためにスキャンするのか、スキャン後どのように活用したいのかを業者に相談してみましょう。

スキャン結果の提供形式

データを提供する形式や方法を伝えましょう。例えば、USBメモリ・クラウドストレージ・CD/DVDなどの形式が挙げられます。

納期の相談

急ぎで納品して欲しい場合には、多くの業者で追加料金が発生することがあります。
いつまでにどのような状態で納品して欲しいのか、しっかり相談しましょう。

思っていたものと納品されたデータが違う

先ほどご紹介したような最低限伝えるべき情報を伝えられていない場合や、業者に正しく伝わらなかった場合、スキャン結果が期待外れだったと言うケースも多く起きているトラブルです。
事前情報を伝える時間を取ることは、日常業務に追われている中で簡略化したいところかと思いますが、このステップが実は最も重要なポイントかと言えます。
御社の貴重な資料をコストをかけて作業するのですから、業者が認識齟齬をしていないか、必要であれば電話やオンラインなどでしっかり要望を伝え、自社の理想が実現できるのか否かをしっかり擦り合わせましょう。
時間的に余裕があるのであれば、サンプルを依頼するなど、しかるべきステップを踏んでくれる業者に依頼することも、成功の鍵となります。

まとめ

スキャニングには破壊・非破壊などさまざまな方法がありますので、自社の希望に合わせて業者にオーダーすることが重要です。
どの方法を選択するかは、スキャン対象物やその後の利用目的によって異なります。
例えば、貴重な本や資料をそのまま保持したい場合は非破壊スキャンが適していますが、大量の書類を迅速にデータ化したい場合は破壊スキャンが効率的です。
また、書籍をスキャニングする際には著作権に配慮することがとても重要です。
著作物をスキャンする場合、著作権法に違反する可能性があり、著作権の保護期間が終了していない古典や珍しい本をスキャンする場合は、法的なリスクが高まることも忘れてはなりません。
著作権に関する法律を遵守し、違法な行為を回避するためにも、信頼できる業者を選択することが重要です。

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