スキャン専門用語の解説

スキャンは身近なようで、実は奥深い世界でもあります。
そのためスキャニング業社のサイトを閲覧していても、耳慣れない単語が出てくることや、意味はわかるけれど違いがイマイチわからない、と言ったことも多いのではないでしょうか。
この記事では、業界で使用される専門用語についてご紹介していきたいと思いますので、これから電子化を進められる企業担当者の方は参考にしてみてください。

スキャンとは?

スキャンとは、紙媒体に記録された情報をデジタルデータに変換するプロセスです。
これにより、情報がデジタルの世界で生き続けることができます。
例えば、小売業者は顧客情報や販売記録・在庫リストなどの膨大な量の紙ベースの文書を日常的に取り扱います。
文書をデジタル化することで、データの検索性とアクセス性が飛躍的に向上し、過去の販売トレンドを分析したい時や特定の顧客の購買履歴を即座に確認したい時に、デジタル化されたデータベースから必要な情報を素早く引き出すことも可能となります。
製造業では、製品設計図や品質管理文書・安全基準の遵守に関わる書類など、厳密な管理が求められる文書が数多く存在します。
これらの文書をデジタル化し適切に保存することで、製造プロセスの各ステップにおいて、関係者は必要な情報に即アクセスできるようになります。

アーカイブとは?

アーカイブ

アーカイブという用語は、一見すると複雑に聞こえるかもしれませんが、実は私たちの日常生活にも身近な概念です。
簡単に言うとアーカイブとは、大切な情報やデータを整理して保存し、必要な時にすぐに取り出せるようにするシステムのことを指します。

例えば医療業界では、患者さんの診療記録や検査結果をデジタル化してアーカイブ化します。
これにより医師は過去のデータを瞬時に参照でき、より適切な治療を行うことが可能になります。
また法律事務所では、過去の裁判記録や契約文書をデジタルアーカイブ化することで、必要な文書を迅速に検索し、顧客への迅速な対応や裁判準備を効率的に行うことができます。

図書館の例をもう少し詳しく見てみましょう。
図書館では、貴重な歴史的文書や希少な書籍をスキャンしてデジタル化し、これらのデジタルコピーを保存すれば、世界中の研究者や学生がインターネットを通じてこれらの資料にアクセスが可能です。
これにより、物理的に図書館に行かなくても、重要な資料を研究に使用することが可能になります。
企業がプロジェクトの成果物をアーカイブする場合、建築会社が過去に手掛けたプロジェクトの設計図や契約書・写真などをデジタル化して保存します。

これらの情報を整理しアーカイブすることで、将来的に類似のプロジェクトを手掛ける際に、過去の成功事例や学びを素早く参照できるようになります。
このように、アーカイブはさまざまな業界や職種で活用されており、情報の迅速な検索と活用を可能にすることで、効率性と生産性の向上に貢献できるでしょう。

スキャン機器の種類と選定について

スキャン技術は、デジタル化の進む現代社会で欠かせないツールの一つです。特に、フラットベッド型スキャナとオートフィーダー型・フェイスアップ型(オーバーヘッド型)スキャナーは、その使い勝手の良さと高性能で多くの業界で利用されています。
ここでは、これら3つのスキャナーの特徴と、どのような用途で使われることが多いのかを詳しく解説します。

フラットベッド型スキャナー

フラットベッド型スキャナは、図面やポスター、本や雑誌など平置きでスキャンする必要がある文書に適しています。
精細なスキャンが可能で、壊れやすい資料や厚みのある書籍にも対応でき、HP・EPSON・Canonは、フラットベッド型スキャナの分野で広く知られています。
家庭用から業務用まで、幅広いニーズに応える製品が提供されており、特に業務用のモデルでは、A2サイズからA0サイズまでの大きな文書をスキャンできる能力を持つものもあり、設計図やポスターなどの大判のアイテムを取り扱う専門職にとっては欠かせないツールです。

オートフィーダー型スキャナー

オートフィーダー型スキャナーは、一度に多数の紙を連続してスキャンすることができる装置です。
Canon・富士通・Kodakなどの大手メーカーがシェアを占めており、価格帯も幅広く設定されています。
家庭用では約5万円前後で購入でき、業務用になると30万円〜150万円と高単価になります。業務用はより多くの機能を備えるため、高速で大量の文書を処理できる高性能モデルが揃っており、オートフィーダー型スキャナーは特に、オフィスや図書館・病院などで重宝されます。
例えば、契約書・請求書・会議資料などの大量の文書をデジタルアーカイブ化する際などに利用され、図書館では書籍や雑誌のバックナンバーをデジタル化する際などに活用されることが多いです。
また、病院では患者のカルテや診療記録の電子化に使用され、迅速な情報共有と効率的な管理を実現しています。

フェイスアップ型(オーバーヘッド型)スキャナー

フェイスアップ型(オーバーヘッド型)スキャナーは、文書や物体を上から撮影してデジタルデータに変換する装置であり、特に貴重な資料や繊細なアイテムを取り扱う際に適しています
業務用では、アメリカやヨーロッパ製の高性能なモデルが市場に出回っています。
この機器は高単価であり、300万円〜1000万円程度の価格帯で提供され非常に精密なスキャンが可能で、大学の研究施設や国立図書館など、特殊なニーズを持つ場所で主に使用されます。
保存状態が良くない古文書や、触れることでダメージを与えかねない作品のデジタルアーカイブ作成にフェイスアップ型スキャナーが活躍します。
授業資料や生徒の作品をデジタル化する際にも使用されることも多いです。

スキャニングの設定

解像度

解像度はスキャンの精細さを表す指標で、単位はdpi(dots per inch)で表されます。
文書の種類によっては300dpiで十分な場合もあれば、高品質な画像をスキャンする場合には600dpi以上を選択します。

カラーモード

スキャンする際に選べるカラーモードには主に「カラー」、「グレースケール」、そして「白黒2値」があります。
それぞれ異なる用途に適しており、スキャンする文書の内容や保存したいデータの種類によって選択します。
下記3点のカラーモードについて、詳しく解説してみましょう。

カラー

カラースキャンモードは、色彩を豊かに含んだ写真やイラストなどをスキャンする際に選びます。
原稿の色を可能な限り忠実に再現しようとするため、ファイルサイズは比較的大きくなり、データが重くなる傾向があります。
写真やパンフレットのデジタルアーカイブや高品質な印刷物の作成には、このカラーモードが必須です。

グレースケール

グレースケールは、カラー情報を保持する必要がない文書や写真に適しており、様々な灰色の階調で表現します。
カラースキャンに比べてファイルサイズを小さく抑えることができ、それでいて細部のディテールを保持することが可能です。
新聞の切り抜きや古い写真のアーカイブなど、色味を必要としない画像を含む文書のスキャンに適しています。

白黒2値

白黒2値スキャンは、画像を最も単純な形である「白」と「黒」のみで表現します。
テキスト文書や線画など、画像が重要でない文書に最適です。
また、ファイルサイズを非常に小さく抑えることができるため、大量の文書をデジタルアーカイブする際に便利です。
OCR(光学文字認識)処理を行う際にもこのモードがよく使用されます。

モノクロスキャンとの違いとは?

一般に「モノクロ」という用語は、色情報を含まない画像全般を指すことがあります。
この概念に従うと、「グレースケール」「白黒2値」の両方がモノクロスキャンに含まれることになります。
ただし技術的な観点から見ると、「グレースケールスキャン」は灰色の階調を用いてより詳細な情報を表現するのに対し、「白黒2値スキャン」はよりシンプルな形で情報を表現します。
従ってモノクロと一言で言っても、グレースケールと白黒2値ではスキャンした結果の画像の特性が異なるため、適切なスキャンモードを選択することで、スキャンする文書や画像の目的に最も合った形でデジタル化を行うことができます。

OCRとは

OCR

OCR(Optical Character Recognition)は、スキャンした文書からテキスト情報を読み取り、編集可能なテキストファイルとして抽出する技術です。
これにより、印刷された書類をデジタル化して、パソコンなどでテキスト検索が可能になります。
長年にわたる会議の議事録をデジタル化し、特定のトピックについて簡単に情報を検索したい企業がこの技術を活用し、業務を効率化できた事例は多いです。
それ以外にも編集ができたり、情報を簡単に共有することが可能になります。

職種ごとのOCR技術の活用例

法務専門家や弁護士

法務のプロフェッショナルは、大量の契約書や法的文書を扱います。
OCR技術を使ってこれらの文書をデジタル化することで、特定の条項や過去の案件に関連する情報を素早く見つけ出すことができるようになり、情報リサーチの時間が大幅に短縮され、効率的な案件管理が可能となります。

研究者や学術関係者

学術研究では、論文・研究ノート・古文書などの豊富な資料にアクセスする必要があります。
OCRを用いてこれらの資料をデジタル化することで、特定の研究トピックやキーワードに関連する情報を迅速に検索でき、研究効率が飛躍的に向上します。

事務員や管理職

会議の議事録・報告書・請求書など、多くの文書が日常的に作成・保管されています。
これらの文書をデジタル化しOCR機能を付帯すると、必要な書類を迅速に見つけることができ事務作業の効率化が図られます。

これらの例から分かるように、OCR技術は業種を問わず価値を発揮しており、文書のデジタル化により、テキスト検索が可能になることで、情報へのアクセス性が向上し、業務プロセスの効率化に寄与しています。

非破壊スキャンとは?

非破壊スキャンは、特に歴史的価値を持つ文書や、世の中に数点しかない写真集など、デリケートで希少性の高い資料をデジタル化する際に選ばれる手法です。
フェイスアップ型(オーバーヘッド型)スキャナーや特殊なカメラ設備が用いられ、資料を物理的に傷つけることなくそのままの形でデジタル化し、現状を保ちながら永続的に保存することが可能になります。
スキャン代行業者がこの方法を採用する際には、以下3点に特に注意を払っています。

資料の安定性保持

資料が動かないように適切なホルダーや台を使用し、クリアなスキャン画像を得られるようにします。

光源の管理

資料にダメージを与えないよう、直接的な光の照射を避け、散乱光を使用して均一に照らすようにします。

解像度とスキャン範囲の設定

資料の詳細を失わないよう、適切な解像度でスキャンし、資料全体がカバーされるようにします。

非破壊スキャンのメリットとは?

最大のメリットは、貴重な資料をそのままの状態でデジタル化できる点にあります。
資料の物理的な劣化や損失のリスクを最小限に抑えつつ、データとしての利便性と永続性を確保でき、情報への容易にアクセス性が向上したり、デジタルアーカイブを作成したりすることも可能にします。
また、電子化したデータがハッキングにより損失してしまった際などにも、原本を失っていないため、再度デジタル化することも可能になります。
特殊な機器や高いスキャニング技術が必要とされ、作業コストや電子化への時間が増す可能性がありますが、希少性の高い資料を保存する上では非常に重要な手段となります。

タイムスタンプと電子署名

電子署名

タイムスタンプと電子署名は、デジタル化された文書の信頼性とセキュリティを高めるために重要な役割を果たします。
また、電子帳簿保存法の改訂により書類によっては要件が定められているため、タイムスタンプは法的要件を満たす手段となります。
これらの手法を文書デジタル化プロセスに組み込むことで、クライアントの重要な文書が改ざんされるリスクを最小限に抑え、法的な有効性を保証します。
下記にモデルケースを2件、ご紹介したいと思います。

モデルケース①契約書のデジタル化 – 不動産業界

ある不動産会社が、賃貸契約書をデジタル化することを決定しました。
契約書にタイムスタンプと電子署名を適用することで契約の有効期間を正確に記録し、契約当事者が署名した証拠をデジタル形式で保持することが可能になりました。
2023年3月1日に署名された契約書があった場合、タイムスタンプを施し、契約日を確実に記録する必要があります。
また両当事者の電子署名を行うことによって、後から契約内容が改ざんされることなく、その電子契約書の正確性が担保されます。

モデルケース②医療記録の保管 – 医療業界

医療機関で患者の診療記録をデジタル化する際にも、タイムスタンプと電子署名が活用されます。
患者の診断や治療に関する決定事項が記録された文書に、これらを適用することで、どの医師がいつその記録を作成したかが明確になり、文書の改ざんを防ぐことで法令遵守が可能になります。
また電子化後に新しい治療法が適用された場合も、再度その決定を行った医師の電子署名と、治療開始日時をタイムスタンプとして記録することも可能です。

このように、タイムスタンプと電子署名を用いることで文書の改ざん防止・法的有効性の強化・効率的な文書管理というメリットを享受することが可能になります。

スキャンのフロー

スキャンのプロセスを解説します。プロセスとしては、「準備」「実行」「アーカイブ」の3つの主要なステップに分かれており、各ステップは、文書のデジタル化プロジェクトが成功するために重要な役割を果たします。

準備

文書の選定

スキャンする文書を選びます。どの文書がデジタル化のために最も適しているかを確認・選出します。

文書の整理

選定された文書を整理し、スキャン作業の効率を高めるために順序を決定します。また、紙の文書が破れていたり汚れていたりする場合は、修復や清掃を行います。

機器と設定の選択

使用するスキャナーを選び、解像度やカラーモードなどのスキャン設定を決定します。文書の種類や目的によって最適な設定が異なります。

実行

スキャン作業

準備された文書をスキャナーを使用してデジタル化します。文書を慎重に取り扱いながら、設定したパラメータに従ってスキャンを行います。

OCR処理

スキャンされた文書にテキストが含まれている場合、OCR技術を用いてテキストをデジタル形式に変換します。これにより、文書の情報を検索可能にしコンテンツの抽出や編集を容易にします。

画像の最適化

スキャンされた画像に対して、色調整・コントラストの最適化・ノイズ除去などの画像処理を行い、品質を向上させます。

アーカイブ

デジタルアーカイブシステムへの保存

電子化した文書を、必要に応じてデジタルアーカイブシステムとして保存します。文書を安全に保管し、必要に応じて簡単にアクセスできるように設計されています。

メタデータの付与

各文書にメタデータ(タイトル・著者・日付など)を付与し、文書管理と検索を容易にします。

バックアップと保護

スキャンされた文書のデータを定期的にバックアップし、災害やデータ損失から保護するための措置を講じます。

まとめ

情報のデジタル化は、単なる情報や知識の保存・共有に留まらず、情報の活用次第で企業に革命をもたらす可能性があります。
スキャン代行の専門家として、私たちはこの変革の最前線に立ち、文書の永続的保存とアクセスの容易さを実現するための最適なソリューションを提供しています。
想像してみてください。デジタル化された文書が企業の日常業務をスムーズにし、業務や教育の質を向上させ、さらには世界中の重要な歴史を未来へと伝える光景を。
私たちはスキャニング技術を通じて、より豊かな未来を築くことを目指しています。
常にスキャン技術や知見の進化を追い求め、クライアントの期待を超えるサービスをご提供すること。
それが、私たちScan Bizの使命です。書類の電子化をお考えの際は、ぜひ弊社にお手伝いさせてください!

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