東京都中央区京橋二丁目2-1 京橋エドグラン3・4F
近年、医療機関においてデジタルトランスフォーメーション(DX)が進む中、様々な業務プロセスが効率化されつつあります。
その中でも、書類のデジタル化は医療の分野において大きな変革をもたらしています。
本記事では、医療機関の書類DX化を後押しするスキャン代行業の重要性に焦点を当て、その効果的な促進方法について検討します。
医療機関が紙ベースの書類からデジタルへの移行を進める理由は多岐にわたります。
患者情報のセキュリティ向上、医療スタッフの業務効率向上、そして情報の共有・連携強化などがその主な要因です。
スキャン代行業は、これらの課題に対応するために欠かせない存在と言えます。
それではまず業界が直面する課題について見ていきましょう。
消費税増税や診療報酬改定による影響に加え、新型コロナウイルス感染拡大による入院患者数の激減が続く中、全国の約8割近くの病院が赤字経営に追い込まれています。
2020年度の病院・診療所の経営状況(速報)によれば、一般病院の利益は前年度比0.9%と大きく低下し、歴史的な最低水準にまで落ち込んでいます。
この困難な状況に直面する中で、長期化する感染拡大と経済的なプレッシャーにより、病院経営には様々な課題が浮き彫りになっています。
ここでは、病院経営の仕組みを理解しながら、現状からの脱却を目指すためのポイントに焦点を当ててみましょう。
出典:2020年度(令和2年度)病院・診療所の経営状況(速報)
それでは病院経営における課題を見ていきましょう。
人件費率が高いと、売上が減少した場合に赤字に傾きやすくなります。
令和3年には、厚生労働省医政局が委託した「令和3年度 医療施設経営安定化推進事業 病院経営管理指標及び医療施設における未収金の実態に関する調査研究」が公表されています。
一般病院の人件費率は58.8%で、これは前年比+1.4%という結果。
これは医師や看護師が慢性的に長時間勤務せざるを得ない状況を改善するために、人員を増やした結果、一部の病院で赤字に陥る可能性が高まっていることを示しています。
出典:令和3年度 医療施設経営安定化推進事業 病院経営管理指標及び医療施設における未収金の実態に関する調査研究
病院経営において「病床稼働率」は最も重要な視点です。病床稼働率の平均は80%強となっています。
病床稼働率が平均値を下回った場合、病院経営は赤字に傾いてしまうのです。
病院は 入院診療が収益の中心を担っていることから、病床稼働率=病院の利益に大きくかかわるため、病床稼働率を上げることが大切です。
新型コロナウイルス感染症の影響により、感染拡大の防止策としての受診控えや予定入院の延期などが広く行われ、これによって多くの病院が厳しい経営状況に直面しました。
現在、コロナ禍が収束に向かいつつある中で外来患者数は復調の兆しを見せていますが、一方で入院患者数が以前の水準に戻っていない病院も多いようです。
全日本病院協会の全日病ニュースによると「コロナ補助金を除いた経常利益がマイナスの病院は、2020年度で65.9%、2021年度で55.9%と半数を超える」とのとで、補助金や助成金を得られたとしても、多くの病院が経営状態が悪化していることがわかります。
出典:コロナ補助金除くと病院は2020年度も2021年度も赤字
厳しい状況ではありますが、「固定費の見直し」や「適切な人件費の設定」「患者数の確保」などを行うことで、厳しい病院経営を改善できる見込みがあります。
具体的な内容について詳しく解説します。
人件費の削減を検討する前に固定費の見直しを行いましょう。
代表的な固定費は以下のようなものがあります。
■材料費…医薬品費、診療材料費、給食材料費など
■経費…リース料、福利厚生費、旅費交通費、職員被服費、通信費、広告宣伝費
■委託費…検査委託費、給食委託費、清掃委託費、医事委託費、警備委託費など
■減価償却費…医療機器、情報システムなど
こちらに挙げた固定費が収益に対して占める割合は約35~45%です。
特に医薬品に関しては、使用頻度が低く高額なものを省いて在庫管理を徹底することで、大幅なコスト削減が期待できます。
薬剤の在庫や期限切れを防ぐためには、必要なものを必要な分だけ購入し、在庫を適切に管理することが非常に重要です。
経営状態を正確に把握した上で、適切な人件費を設定することが重要です。
病院のコスト構造において最も大きなウェイトを占めるのが人件費です。
人手不足により人員を増やす必要が生じた場合、当初に設定した人件費率を超えるケースが発生することは少なくありません。
人件費削減の効果的なポイントは、「残業時間の削減」と「給与の見直し」の2つです。
残業時間を削減することで、効率的な業務遂行と従業員の健康を促進できます。
また、給与の見直しは、役職や業績に基づいた柔軟で公正な報酬体系の確立を含みます。
これにより、人員のモチベーション向上とコスト削減の両方を達成できます。
地域医療において、外来を主とする診療所と入院を中心とする病院の連携は非常に重要です。
患者数を確保し、より効果的な医療提供が可能になります。
その為には治療履歴や病状、検査結果などの情報を共有し、協力して治療計画を策定することが求められます。
地域医療連携の仕組みを整備することで、診療所と病院の連携がスムーズに進むでしょう。
具体的な手段として、連携協定の締結、ネットワークの構築、情報交換会の開催などが有効です。
これまで医療機関が直面する課題感や対策などに触れてきました。
総じて言えることは、人が介在して対応すべき事柄が非常に多いということです。
できることは、どの医療機関様も対応されていると言うことです。
人手不足の状況下ではスピード感を持って改革するということは困難を極めます。
だからこそ、ビジネス全般においてICT(情報通信技術)の導入は急速に進んでおり、医療分野でもICTの利活用が強く推進されています。
ICTを取り入れ活用することで業務の効率化や人手不足の解消、経営状態の改善などが期待できます。
それでは次項では、医療分野でのICT化の一種である書類デジタル化について触れていきましょう。
前述した医療現場の課題を解決するために、近年、スマートヘルスケアサービスなどが普及してきており、
医療機関においても書類電子化が注目を浴びています。
スマートヘルスケアとは、IoTやVR(仮想現実)・AR(拡張現実)を活用した医療サービスのことです。
医療現場には機密性の高い書類が非常に多く、取り扱いは専門の知識が必要です。
患者のカルテや医療記録、請求書など、医療機関特有の多岐にわたる書類が対象となるのですが、これらの書類を電子化することで革新的な変化が期待されます。
それでは医療機関における、書類電子化のメリットについて考えてみましょう。
医療機関では患者のプライバシー保護が最優先事項です。
紙の書類からデジタルへの変換により、アクセス権の制御やデータの暗号化が容易になり、情報漏洩のリスクを大幅に低減できます。
書類電子化が進むことで、スタッフは時間とリソースを節約し、患者へのより質の高い医療提供に専念できるほか、より専門的な庶務対応が可能になります。
診療報酬請求書の電子化は、手間や時間の節約だけでなく、誤請求のリスクを低減します。
正確な請求処理は医療機関の財政を安定させ、質の高い医療提供を維持するうえで不可欠です。
デジタル書類は簡単に共有でき、異なる部門や施設間での情報連携が円滑に行えます。これにより、患者の統合的なケアが可能となり、診療の一貫性が向上します。
例えば、患者の電子カルテは迅速で正確な医療情報の共有を可能にし、診療の迅速化や誤りの削減に寄与します。
移動や緊急時にも必要なカルテへ容易にアクセスできるようになります。
書類電子化は医療機関の業務プロセスの効率化と、患者ケアの質の向上をもたらします。
これにより、医療従事者は本来業務に専念できるため、患者はよりスマートで質の高い医療サービスを利用できるでしょう。
未来の医療の礎となる書類電子化に、今こそ注目が集まっています。
デジタル化のメリットについてお話ししてきましたが、前述した通り、医療機関の書類には機密性の高い書類が非常に多いです。
また、法令遵守の観点から見ても、書類の電子化は単にPDF化しても保存要件を満たさないため、適切な処理が必要です。
こう言った処理含めて、スキャン業者に委託する企業担当者様が多くいらっしゃいます。
ここからはスキャンを委託するメリットについてご紹介させていただきますね。
スキャン代行業者は、高品質なスキャン技術を提供し、デジタル書類を信頼性の高い形で保管できるようサポートいたします。
専門家の手によるスキャン作業は精度が高く、データの品質向上に寄与します。
問診票や、患者が持参する同意書や紹介状等は、自院の電子カルテや部門システムで作成したものではなく「原紙」が存在しています。
単にスキャンしてPDF等データ化した文書の場合、電子カルテに保存したとしても原紙を保管したことにはなりません。
電子カルテを導入にもかかわらず、紙の保管が必要なとあれば電子化した意味が半減してしまいますよね。
厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に準拠し、「電子署名」「タイムスタンプ」を付与することで、文書の改竄を防ぐことができ、紙の保管を免れます。
紙文書の電子化を進める際に、懸念される「導入にどれくらいの追加作業が発生するか?」という点があります。
病院内の業務は非常に多岐に渡り多忙なスケジュールを抱えている方々が多いため、これまでの業務に新しい取り組みが加わるとなると、導入に対する不安が生まれることも考えられます。
電子化以前は「書類をファイリング→保管ルームに移動→棚に置き→また診療科に戻る」という業務は、どの病院様でも行われていたことではないでしょうか。
その負担と比較すれば、電子化で生じる作業は非常に負担が少ないと考えられます。
とは言え、電子化のファーストステップである書類スキャン作業は多くの書類を抱える医療現場には大きな負担となります。
弊社のサービスであれば、付箋やクリップが付いた状態の書類も纏めて送ってOK。
高性能スキャナを複数所有しておりますので、院外から持ち込まれた紹介状や、院内で発生した同意書などの大量な文書を一括スキャンします。
また、その後の導入ツールとの連携をスムーズに行うために、しっかりヒアリングさせていただき、正確に素早く大量の紙文書をスキャンが可能となります。
患者情報は機密性が高いため、スキャン代行業はデータのセキュリティ対策にも注力します。
電子化データを原本にするには「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に準拠し、電子データに証拠性(原本性)を付与しなければなりません。
ただこうした情報は知っていてもガイドラインやe-文書法などは専門性が高く解釈の仕方などに不安を感じて、システムの導入に踏み出せないといったことがあるようです。
「原本を破棄する前にチェックすべきことは何ですか?」「紙原本は電子化後どのくらいの期間保管したら良いですか?」といったものです。こういった運用に関する不安や懸念点に対しては、ガイドラインを理解するだけでは解消されません。そのため運用に関してノウハウを持ち、ベストプラクティスを知っているパートナーを持っておくと良いでしょう。
スキャン代行業者はその道のプロです。
最新のセキュリティプロトコルや法規制への適合性を確保し、信頼性のあるデジタル環境が整えられており安心です。
よりセキュアな書類電子化に貢献します。
これはスキャン代行業者が提供するメリットの一部です。
書類は様々なものがありますが、前段として電子化した書類データが正確性に欠けていては、その後の電子化に大きく影響してしまいます。
院内の電子化をより良くしていく為にも、スキャン代行業者の専門知識や技術に頼ってみてはいかがでしょうか。
最後に、スキャン代行業の導入により実現された書類スキャンの成功事例を紹介します。
東京都のある病院では、臨床試験に関連する文書管理が大きな課題となっていました。
具体的には、約500冊の臨床試験ファイルと同数のノートが物理的に保管されており、これらの管理には多大な労力とスペースが必要でした。
紙ベースの記録は、情報アクセスの遅さや紛失・損失のリスクを高める原因となっており、これらの課題に対処するため、病院はスキャン代行サービスを利用して、これらの文書のデジタル化を決定しました。
このプロジェクトでは、約500冊の臨床試験ファイルと500冊のノートが対象となりました。
スキャン代行サービスによって、これらの文書は高解像度で電子化され、さらにOCR技術を用いてテキストを検索可能なフォーマットに変換されました。
このプロセスには、最先端のスキャナー「CANON DRX10C」が使用され、紙粉除去機能やページ傾き自動補正機能を備えているため、高品質なデジタルデータの生成を実現しました。
作業は容易ではなく、ノートにグラフや付箋など貼り付けモノが多く、1枚づつダブルチェックを行いながらすすめ品質を担保いたしました。
①空間の最適化
物理的な記録の電子化により、病院内の貴重なスペースが解放されました。これにより、その空間を他の重要な医療活動や患者ケアのために活用することが可能となりました。
②情報アクセスの迅速化
OCR技術を活用したデジタル化ファイルにより、医療従事者は必要な情報に対して、以前に比べて格段に迅速にアクセスできるようになりました。
これは、治療決定のスピードアップや患者ケアの質の向上に直結します。
③データの安全性と持続可能性の向上
紙の記録に比べて、電子記録は災害や事故による損失のリスクが低く、適切なバックアップにより長期間の保存が可能です。
さらに、電子化は紙の使用量を削減し、環境にも優しい選択となります。
④コンプライアンスの確保
電子記録は、アクセス制御や追跡が容易であり、医療機関が法的なコンプライアンス要件を満たすのに役立ち、患者情報のプライバシーとセキュリティの保護が強化されます。
東京都の病院における臨床試験ファイルとノートのデジタル化プロジェクトは、スキャン代行サービスを活用することで、効率化とリスク管理の両面で顕著な成果を達成しました。
Scan Bizは、医療記録管理の効率化とリスク管理を大幅に改善しました。
このプロジェクトは、医療機関が直面するデジタル化の課題に対して、スキャン代行サービスがいかに有効な解決策を提供できるかを示す優れた事例です。
東京都のある病院では、臨床試験に関連する文書管理が大きな課題となっていました。
具体的には、約500冊の臨床試験ファイルと同数のノートが物理的に保管されており、これらの管理には多大な労力とスペースが必要でした。
紙ベースの記録は、情報アクセスの遅さや紛失・損失のリスクを高める原因となっており、これらの課題に対処するため、病院はスキャン代行サービスを利用して、これらの文書のデジタル化を決定しました。
千葉県にある大学病院では、長年にわたり紙のカルテ、手術記録、検査結果、レントゲンフィルムなどの医療記録を物理的に書庫に保管してきました。
これらの紙ベースの記録は、大量のスペースを占め、情報アクセスの非効率性、記録の劣化リスク、さらには災害時の紛失リスクを高めています。
この病院では、20,000枚のカルテをはじめとする医療記録の電子化に着手しました。
このプロジェクトの目的は、新たに導入される電子カルテシステムとの連携を強化し、医療記録の管理を効率化することです。
また、手術記録や検査結果、レントゲンフィルムの電子化を通じて、業務効率化、コスト削減、ペーパーレス化を実現することを目指しています。
カルテは600dpi、レントゲンフィルムは最大1200dpiでスキャンし、OCR機能を付帯させ、テキスト情報を検索可能な形式で電子化しました。
安全に文書を電子化するため、裁断後の溶解処理を施しました。
使用した機材には、「Wide TEK® 25」スキャナーが含まれており、このスキャナーはフィルム保存に特化しており、一枚ずつ高品質な画像を生成します。
①書庫スペースの有効活用
紙ベースの記録を電子化することで、貴重な書庫スペースを従業員の休憩スペースに活用できるようになりました。
②複数人での同時閲覧
電子化されたカルテは、複数の医療従事者が同時に閲覧可能となり、治療の協議や決定を迅速化しました。
③電子カルテとの連携強化
電子カルテシステムとのスムーズな連携により、正確な画像データの取り込みが可能となり、患者ケアの質の向上に貢献しました。
千葉県の大学病院における医療記録のデジタル化プロジェクトは、「スキャン代行業者を頼んでよかった」と多くの看護師やドクターは口を揃えています。
彼らは、必要な医療記録へのアクセスが以前に比べて格段に迅速になったこと、複数のスタッフが同時にカルテを閲覧できるようになったこと、そして最も重要な患者ケアの時間をより多く確保できるようになったことを特に高く評価しています。
看護師からは、「以前は時間をかけて紙のカルテを探したり、必要な情報を見つけるのに苦労していました。今は、数クリックで必要な情報にアクセスでき、患者さんへの返答も早くできるようになりました」という感想が寄せられました。
ドクターの一人は、「レントゲンフィルムを含む全ての医療記録の電子化は、診断の正確性を向上させ、患者への説明もより明確にできるようになりました。これは、医療サービスの質を向上させる大きなステップです」と喜びの声が寄せられました。
今回は医療機関での書類電子化に焦点をあてご案内してきましたが、いかがだったでしょうか?
意外に手間がかかると思われる部分もあったかもしれません。
ですが、手間をかけた分、スキャン後には多くのメリットを感じる事ができると思います。
医療機関の書類DX化は、患者と医療スタッフの利便性向上に寄与するだけでなく、医療提供の質と安全性を向上させる大きな可能性を秘めています。
この機会に、ぜひ紙カルテをはじめとしたスキャンニングにはScan Bizをご検討されてみてはいかがでしょうか。