工務店・ハウスメーカーのDXとは？業界の課題やDXへの取り組みについてご紹介

近年、デジタルトランスフォーメーション（DX）が、様々な産業において注目を集めています。
住宅業界においても、新型コロナウイルスの世界的な流行やウクライナ情勢など、現代社会の複雑な情勢を鑑みると、業務効率化が喫緊の課題となっており、DXの導入は非常に注目を集めています。

本記事では、DXの概念について解説した上で、なぜ現在DXの導入が急務なのかについてお伝えします。さらに、DX導入のメリット・デメリット・成功のポイントについても詳細に考察し、実際の活用事例を交えながら、わかりやすく解説していきます。

新たなテクノロジーやデジタル化の波は、住宅業界においても大きな変革をもたらしています。
顧客ニーズの変化や競争の激化に対応するためには、従来の手法にとらわれず、柔軟で効率的なアプローチが求められます。
DXの成功には、適切な戦略の策定・リソースの適切な配分・社内外のステークホルダーとの密な連携が不可欠です。
これらの要素をうまく組み合わせ、実践することで、業務プロセスの効率化や顧客サービスの向上、さらには競争力の強化が実現されるでしょう。

このように、DXは単なる技術革新だけでなく、ビジネスのあり方そのものを変える革命的な概念です。DXの重要性を理解し、積極的に取り組むヒントにしてみてはいかがでしょうか。
ぜひ参考にしてみてください。

ハウスメーカーにおけるDXとは？

DX（デジタルトランスフォーメーション）とは？

DX（Digital Transformation）はデジタルトランスフォーメーションのことで、簡単にディーエックスと呼ばれます。企業がAI・IoT・ビッグデータなどのデジタル技術を用いて、業務フローの改善や新たなビジネスモデルの創出だけでなく、レガシーシステムからの脱却や企業風土の変革を実現させることを意味し、日本では、2018年に経済産業省が「DX推進ガイドライン」を示したのを契機にDXが広まりました。

経済産業省が発表した『DX推進指標とそのガイダンス』では、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス・ビジネスモデルを変革するとともに、業務や組織・プロセス・企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。
つまり、デジタルツールの活用に留まらず、DXをきっかけとして、新しいビジネスモデルの確立を促すことで、業界が抱える根本的な経営課題を解決していくことが目的と言えます。

デジタル化とDXと混同されることが多いのが「IT化」です。 ITはInformation Technologyの略であり、コンピューターとネットワーク技術の総称。
インターネットやデジタルテクノロジーの進化に伴い、「旧来のアナログな作業をデジタル化して便利にする」という意味合いでIT化という言葉が使われるようになりました。

DXが社会や組織・ビジネスの仕組みそのものを変革することなのに対し、IT化は既存の業務プロセスのまま業務効率化と生産性向上を図るという非常に限定的な言葉であり、デジタル化と同様に、IT化もDX推進に向けた手段の1つとなります。

工務店・ハウスメーカーにおけるDXの現状は？

出典：総務省（2021）「デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究

住宅業界におけるDXの遅れは、これまで業務プロセスの多くが紙ベースで行われていることや、専門性の高い業務領域においてもシステム化が不十分であることが要因です。
営業活動や設計プロセスにおいても、設計図・意匠図の作成・構造計算など業務上、非常に専門性が高くシステムを導入している企業は出てきているものの、効率化までには至っていないのが現状です。

総務省が公表している業種別のデジタル・トランスフォーメーションの取組状況では、他の業種に比べて少ないことがわかり、DXの遅れを示唆しています。
住宅業界におけるDXの導入が未熟な状況であるため、業界全体での認識や取り組みの促進が必要です。

工務店・ハウスメーカーで、DX化が進む理由（背景）

前述の通り、必要性があっても工務店・ハウスメーカーでのDXは進んでいないことはお分かりいただけたかと思います。
どれでもDXを進めている企業は多く、国も推進を歓迎しています。それは何故でしょうか。
工務店・ハウスメーカー特有の理由2点を見ていきましょう。

理由1 原材料費の高騰

原材料費が急激に上昇している一方で、不動産価格は上昇傾向にありますが戸建住宅を含む総合価格の上昇率はそれほど高くありません。
このことから、原材料費以外の費用を抑えることが求められています。
ここにデジタルトランスフォーメーション（DX）が重要な役割を果たします。
DXを活用することで、効率的な業務プロセスや作業の自動化が可能となり、人件費やその他の作業費を削減することが見込めます。また、データ分析により、より効果的な意思決定を行い、無駄なコストを削減することも可能になるでしょう。
さらに、コラボレーションツールやコミュニケーションプラットフォームの活用により、従業員間の協力や情報共有が円滑に行われ、作業効率が向上します。これらの取り組みにより、原材料費以外の費用を効果的に抑え、住宅業界の持続的な成長と競争力の強化が実現されるでしょう。

理由2 Webマーケティングに注力する企業が増えた

Webマーケティングの重要性も指摘されています。 近年はインターネットやSNSの普及が著しく、住宅に関して何か検討しているお客様は調べることで質の高い情報をすぐに入手することができます。
特にYouTubeなどの動画サイトの普及が大きく、住宅の専門家が住宅に関する知識を説明している動画も多いです。
例えば住宅の購入を考えている一般消費者が内覧に行かずともメーカーの評判や他の人がそのメーカーに訪れた際の印象などをすぐに確認できるようになりました。
このような時代において、住宅業界ではお客様に必要な情報を漏れなくかつ分かりやすく伝えなければなりません。
顧客ニーズのタイムリーなキャッチアップは勿論のこと、営業チームだけではなく、会社全体としてニーズを正確に把握し、発信し続けることが重要となっています。

工務店・ハウスメーカーがDX化を進めるメリット

それでは、実際に工務店・ハウスメーカーがDXを勧めるメリットを5項目に特化してご紹介していきます。

1：業務効率化

DXを活用することで、設計や施工などの業務プロセスが効率化されます。
また品質管理が向上し、品質の一貫性が確保される他、データ分析によりリアルタイムでの問題の検知や解決が可能となり、リスクを低減することができます。
これまで人の手で行っていたものは作業時間の短縮やヒューマンエラーの削減が可能となり、生産性が向上する手助けをしてくれるでしょう。

2：人材不足の解消

5G回線やICT技術の活用が進むことで、より高精度な通信が可能になり、従来は現場で行われていた施工に必要な資材の確認や現場の監督作業などを、遠隔地にある事務所から行うことができるようになります。
さらに、AI技術の発展により、ロボットを活用した効率的な施工が可能になる可能性もあります。これらの業務効率化技術や人材からの代替技術により、人材不足の解消が期待されています。

3：マーケティング戦略と競争力の強化

DXを活用することで、顧客のニーズや市場動向をより正確に把握し、効果的なマーケティング戦略を展開することが可能となります。
顧客へのターゲット広告やパーソナライズされたコンテンツの提供により、顧客の獲得やブランドの認知度向上が期待でき、他社との競争にも競り勝つチャンスが増えることでしょう。

4：業務の属人化防止

業務が特定の人に依存しすぎる「属人化」は、他の人が業務内容や対処方法を理解できず、品質にばらつきが生じたり、トラブルの原因になる可能性があります。
また、担当者が不在だと業務が滞り、作業効率が低下します。住宅業界ではこの傾向が顕著であり、DXを導入することでこの問題に対処できます。
顧客情報や打ち合わせの内容を共有することで、属人化を防ぐことができ、担当者の異動や退職にも柔軟に対応できます。

5：顧客満足度の向上

ビッグデータの分析やAIを活用した顧客分析が挙げられます。顧客のニーズを的確に把握し、顧客が求める理想の住宅を顕在化することで顧客満足度を向上させるだけでなく、口コミやリピート顧客の獲得が期待できるでしょう。
さらに、電子契約やVR内見の実施により、遠方の顧客にも迅速に対応できます。顧客は何度も足を運ぶことなく、物件探しや契約手続きを容易に行うことができるため、満足度が向上します。

工務店、ハウスメーカーがDX化を成功させるためのポイント

DXの推進には多くのメリットがあることが分かりましたが、実際に成功に導くためには何が必要なのでしょうか。
ここでは3つのポイントをご紹介します。

初めの一歩は小さくてOK

DXというのは一度デジタル技術を導入して、ビジネスプロセスや業務そのものを改善して終わりではありません。また、いきなり大きなシステムを導入し、大規模にDXを行うことはその分リスクも伴います。DXはまずはスモールスタートから始め、徐々に大きくするのが鉄則です。
例えばペーパーレス化を進めたい場合は一部の帳簿から始めると無理なく行えますし、問題がないか確認しながら段階的に他の帳簿や契約書などに導入する方法も効果的です。

会社を上げて主体的に行動する

経営層がDXへの意欲を示し、組織文化を変革するための方針を明確に示すことが重要です。
また、従業員への教育やトレーニングを通じて、DXに対する理解と意識を高めることも欠かせません。
DXはトップダウン方式で進めることも重要ですが、実務を担当している社員が積極的に行動することがさらに重要です。トップダウンで作り上げたシステムは経営者目線で構築されるため、経営判断に役立つように設計されがちです。しかし、実際に使用する担当者にとっては使いにくく、業務プロセスの改善が難しくなります。DXはビジネスプロセスや業務そのものを変革することが目的なので、実際に使う担当者目線でシステムを構築することが必要不可欠です。したがって、DXを進める担当者は社員一人ひとりの理解を得るところから始めるべきです。社員が一丸となって取り組むことで、課題を把握しながら効果的なシステムを構築することができます。

ゴールを定めPDCAを回す

自社にとって最適なDXとその方法を目指すこと、そして改善し続ける姿勢がとても大切です。
DXを導入しても、その後何も改善しなければ、DXがうまく機能せず社員たちも活用しようとは思わないでしょう。
自社にとってどんなやり方が合っているか試しと改善を繰り返し、最適な状態を維持しましょう。

DXのファーストステップ！工務店、ハウスメーカーがスキャン代行業者を活用する理由

これまで、住宅業界におけるDXのメリットや必要性をお話ししてきました。
そこで、DXのファーストステップでもある書類DXを進めていく上で、多くの企業様が弊社のようなスキャン代行会社をご活用いただいています。
スキャン代行サービスに依頼すると、どんなメリットがあるのでしょうか。
以下3点のメリットに絞りご紹介していきますので、ぜひご覧ください。

メリット1：高品質な電子化が可能

契約書や納品書はもちろんですが、業界柄、大型図面のスキャンなどがスキャンの難易度を難しくしています。
スキャン代行サービスでは、紙の状態に合わせて最適な方法でスキャンすることが可能であり、A1やA2サイズなど大判で製本された図面も、特殊な機器を用い高精細に電子化できます。
最良の状態であらゆる紙のデータを電子化できる点は、スキャン代行サービスに依頼する大きなメリットです。

メリット2：社員の負担を最小限に抑えられる

スキャン代行サービスを利用することで、社内のリソースを割く必要がなくなります。
これにより、企業は重要なコア業務に自社の人材を集中させることができます。
コア業務に自社の人材を集中させることで、業務の効率化が図られ、企業運営が円滑化されることが期待されます。

メリット3：電子帳簿保存法への対応

電子帳簿保存法は、企業が税法に基づき保管する必要のある帳簿・書類を電子データで保存するための法律です。
国税関係書類を電子データで保管する際には、この法律に則ってスキャン等を行う必要があります。
多くのスキャン代行サービスはこの法律に対応しており、法令に準拠したデータ管理が可能です。
つまり、法の要件を満たしたデータ管理を望むなら、電子帳簿保存法に準拠したスキャン代行サービスを利用することが確実であり、法令遵守と書類電子化をスムーズに進められることでしょう。

工務店・ハウスメーカーにおける書類DX事例

事例1デザイン事務所様における青焼き製本（設計図・竣工図）のPDF化

プロジェクトの背景

戸建ての青焼き図面（設計図・竣工図）の電子化に関するお問い合わせをいただきました。
50冊の図面製本が社内で保管されており、日々劣化していること、今後も資料が増えていくため、スペースを開放したいとのことでした。

スキャン実績

• サイズ：A2
• 原本：青焼き二つ折り製本
• 期間：2週間
• 納品形式：CD-R

事例2工務店様における契約書や見積書、図面の電子化

プロジェクトの背景

本社移転により過去に設計した建物の契約書、竣工図の整理とデータ化に関するお問い合わせをいただきました。
状況として、契約書（折込み製本）設計図、見積書、測量図が100冊ほどの纏まったファイルがありメールにて画像を送っていただき、概算の見積もりを提示し、スキャンのご依頼をいただきました。

スキャン実績

• サイズ：A2、A3、A4
• 原本：契約書（折込み製本）、設計図、見積書、測量図、竣工図
• 期間：3週間
• 納品形式：データ便

まとめ

さて、ここまで工務店、ハウスメーカーにおけるDXについて触れてきました。
DXは単にデジタルツールの導入が目的ではありません。根本的な問題を解決するために必要なのです。そしてDXを成功させるには無理なくスモールスタートから始め、自分の会社に最適な方法を探し続けることが大切です。
テレワークやペーパーレス化が注目される昨今において“紙媒体の電子化”は注目を集める取り組みの一つです。
電子化作業、すなわち紙資料のスキャン作業は書類の量が多いほど企業担当者の負担が大きくなるため、効率化の手段のひとつとしてスキャン代行サービスの利用を推奨します。
スキャン代行サービスを利用すれば、自社の人員をコア業務に集中させることが出来たり、テレワークの業務効率の向上に繋げたりすることが可能です。もちろん、紙ベースで保管しておかなくてはいけないものも一部ありますが、そのことを踏まえても、書類電子化は企業にとって大きなメリットをもたらすでしょう。